この記事を読むとどの種類の窓ガラスを選べば良いかがわかります♪
結論をいうと、ガラスの種類は冬期間をメインに考えて選ぶのが最適です。
温度差や光熱費の観点からも、冬を軸にガラス選びをしましょう。
その理由は、夏よりも冬のほうが内外の温度差が大きいからです。
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ガラスの説明
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二重ガラス(複層ガラス)が左の図、二重窓(内窓)が右の図です。
よく混同されやすい言葉ですが、2つに分かれるのがポイント。
複層ガラス(ペアガラス) | 2枚のガラスの間に空気層があるガラス複層ガラスの一種で、ガラスの枚数で呼び名が変わる ガラスが2枚:ペアガラス ガラスが3枚:トリプルガラス ※ もともとは板ガラスの大手「AGC」の登録商標 ※ 一般名称のように浸透した |
二重窓 | 既存の窓の内側に新たに設置する窓 別名:「内窓」「インナーサッシ」「二重サッシ」 |
別名があるからややこしく見えますが、実はガラスか窓かの違いですね。
いずれも、断熱・遮熱効果があり、冬の暖房、夏の暖房の省エネ・節電につながります。
複層ガラス(ペアガラス)
近年建てられる住宅の窓ガラスは、ほとんどが複層ガラス(ペアガラス)です。
「複層ガラス」とは、1つのサッシの中に複数のガラスとその間に空間があるガラスのことを総称しています。そして「ペアガラス」は複層ガラスの一種です。
また、複層ガラスは、ガラスの枚数によって呼び名が変わります。
「ペアガラス」は2枚のガラスで構成された複層ガラス。
ガラスが3枚だと「トリプルガラス」といいます。
ガラスの間には乾燥した空気が入っていますが、費用を追加するとアルゴンガスに変更することもできます。
空気層は内窓の場合12㎜が一般的で、ガラスの厚さ3㎜✖️2枚+空気層12㎜=合計の厚さが18㎜になるのが通常の仕様になります。
複層ガラスに交換するメリット
- 室内の寒さが軽減できる(防寒対策 / 断熱効果)
- 窓の見た目や使い勝手が変わらない
- 窓のガラスの結露を解消できる
- ガラスや中空層の組み合わせで、断熱、遮熱、紫外線(UV)カットの効果を高められる
複層ガラスのデメリット
- 窓ガラスのサッシ自体を交換しないといけない場合がある
- 窓のサッシ(窓枠)の結露は解消されにくい※ アルミサッシの場合
- 防音・遮音性能は、二重サッシ(二重窓・内窓)の方が効果が高い
ガラスの内側の表面に「Low-E膜」という特殊な金属膜をコーティングし、遮熱効果も高めた「Low-E複層ガラス」というものもあります。
Low-E膜の特徴は、光の中でも赤外線と紫外線を大幅カットしてくれて、可視光線はしっかり通してくれる点。膜が貼ってあっても明るさを損なわないのがポイントです!
複層ガラス(ペアガラス)の種類は、
の3種で区別すると理解しやすくなります。
「二重サッシ」「二重窓」「内窓」
二重サッシは、既存の窓の内側に新たに設置する窓のこと。
「内窓」「インナーサッシ」「二重窓」は別名で、同じものです。
既存の窓ともう1セットの窓(内窓)の間にできた空気層で断熱効果を得られます。
二重サッシ(二重窓・内窓)にするメリット
- 室内の寒さが軽減できる(防寒対策 / 断熱効果)
- 窓が2つになるため、防音・遮音効果が高い
- 窓サッシが樹脂なので、結露しにくい
- サッシも物理的に2つなので、ガラスだけでなくサッシの断熱効果も期待できる
遮熱、断熱、結露防止以外にも、防音や防犯効果を目的に設置されることも多いです。
二重サッシ(二重窓・内窓)のデメリット
- 窓が2つあるため、空け閉めの手間が面倒
- 窓の内側にもう1つ窓が付くため、見た目が変わる
二重サッシ(二重窓・内窓)は、「引き違い窓」「FIX窓」「テラスドア」「開き窓」に設置します。
「上げ下げ窓」や「内倒し窓」、「天窓」など、外窓が内窓に干渉してしまうような窓には二重サッシ(二重窓・内窓)の取り付けは不向きです。
YKKap 窓の教科書
今の窓の土台の幅を広くしないといけない場合がある
YKKapカタログ
今の窓の内側にもう1つ窓を付けるために、二重サッシ(二重窓・内窓)を設置できるだけの窓枠のスペースが必要になります。
取り付けのスペースがない場合は、「ふかし枠」という部材を窓枠に設置することで、施工できます。
わが家の内窓リフォームも1箇所「ふかし枠」で内窓設置しています♪
わが家の内窓リフォーム、ふかし枠の設置の様子の記事はコチラ⇩⇩
複層ガラス(ペアガラス)と二重サッシ(内窓・二重窓)、どっちを選べば良い?
簡単におさらいすると、二重ガラス(ペアガラス)はガラスのみが二重になっているもの、二重サッシ(内窓・二重窓)は窓枠ごと二重になっているもの。
複層ガラス(ペアガラス)と二重サッシどちらも断熱性が高く省エネ効果が期待できますが、使い勝手や防音・遮音性能で違いが出てきます。比較表にまとめてみました。
効果 | 複層ガラス(ペアガラス) | 二重サッシ(内窓・二重窓) |
---|---|---|
結露防止 | 〇 | ◎ |
断熱効果 | ◎ | ◎ |
防音・遮音効果 | 防音できるガラスを使うと効果あり防音効果の高め方を見る | ◎ |
紫外線・UVカット | 可紫外線カットできるガラスだと効果あり※ Low-E複層ガラス | 可紫外線カットできる複層ガラスと組み合わせると効果あり※ Low-E複層ガラス |
開閉の手間 | 変わらない | 増える※ 窓が内側にもう1つ増えるため |
掃除の手間 | 変わらない | 増える※ 窓が増ふえてガラスの枚数が増えるため |
Low-E複層ガラスとは?
ガラスの1方の表面に「Low-E膜」という特殊な金属膜をコーティングし、遮熱効果も高めた複層ガラスのことです。
Low-E膜の特徴は、光の中でも赤外線と紫外線を大幅カットしてくれて、可視光線はしっかり通してくれる点。膜が貼ってあっても明るさを損なわないのがポイントです!
Low-E複層ガラスのメリット
室内の暖かさを保つ
室内の熱が逃げにくく、かつ室外の冷気も室内に取り入れ難くなるため、同じ温度でも暖房効果が高まり、部屋の暖かさが向上します。また、足元の冷え冷え感が和らぎます。
結露を低減
冬場に多く発生する不快な窓ガラスの結露を大幅に低減することが期待できます。
太陽の西日を軽減(「遮熱タイプ」の場合)
「遮熱タイプ」の場合、夏に外から侵入してくる太陽の熱(日射熱)を遮るので、冷房効率を高め、涼しい室内環境をつくります。
冷暖房費を削減
エネルギー効率を高めることができるので、冷暖房費用の削減に!
Low-Eガラスのデメリット
Low-Eガラスの最大のデメリットは一般複層ガラスに比べると日射の取得が少なくなることです。
ただし熱の伝わりやすさが低いので、室内の熱が外に逃げにくいです。
「一般の複層ガラス」と比較すると割高となるため、導入費用がかかります。
「一枚ガラス」・「複層ガラス」・「Low-E複層ガラス」の違い
なぜ「Low-Eガラス」が必要かを考える際、熱の伝わり方についてみていくと非常に分かりやすいです。
そもそも熱の伝わり方には、「伝導」・「対流」・「放射」の3種類が存在しています。
それぞれの熱の伝わり方のイメージは次の通り。
そして、「一枚ガラス」・「複層ガラス」・「Low-E複層ガラス」は、この熱の伝わり方に対する効果が異なっているのです。
下の表は、各ガラスがそれぞれの熱の伝わり方に対して、効果のある・なしを表にまとめたものです。
ガラスの種類 | 伝導 | 対流 | 放射 |
---|---|---|---|
一枚ガラス | × | × | × |
複層ガラス | ○ | ○ | × |
Low-E複層ガラス | ○ | ○ | ○ |
通常の「一枚ガラス」は、ただのガラスなので良く熱を伝えてしまいます。
「複層ガラス」はガラスとガラスの間に、ガラスより熱伝導率の低い空気の層(中空層)を設けることで、「伝導」・「対流」を抑制しますが、「放射」に対しては有効ではありません。
その点「Low-E複層ガラス」は、Low-E膜の働きにより赤外線を吸収・反射するので、「放射」に対しても有効です。
ここがポイントになるのですが、複層ガラスを介した熱の移動の内、約6割が「放射」による移動といわれ、いかにして「放射」による熱移動を抑えるかが断熱性UPの鍵となるのです。
そして、この「放射(Emissivity)」を抑えるのが、「Low-Eガラス(Low Emissivity=低放射)」ということになります。
Low-Eガラスの説明と選び方のわかりやすい動画はコチラ⇩⇩
2タイプあるLow-E複層ガラス
Low-E複層ガラスには断熱タイプと遮熱タイプの種類があります。
目的に応じて使い分ける必要があります。
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になり、金属膜の位置の違いにより性能値が変わってきます。
パッとみた感じですと、遮熱タイプの方が外の熱を反射するし、室内の熱を閉じ込めているから性能がよさそうにみえませんか?
しかし、そこに大きな落とし穴があるんです。
遮熱タイプと断熱タイプの使い分け
冬の場合を想定してみます。
昼間の太陽の熱は少しでも家の中に入れたいもの。
しかし、遮熱タイプのガラスを使用すると、せっかくの日射エネルギーを反射してしまい、室内が暖まりづらいという状況になってしまいます。
一方、断熱タイプの場合は、日射熱を適度に透過させながら、室内の熱を逃がさないように反射します。一旦、取り入れた熱を逃がさないような仕組みになっているわけです。
とはいえ、すべてを断熱タイプにすればいいのかというと、そういうわけではありません。
西日はなるべく入れたくはありません。
このような場合は、日射熱を反射する遮熱タイプの方が効果があります。
また、夏場は暑いが、冬場はそこまで冷えない地域では遮熱タイプを使ったほうが効果を感じられるかと思います。
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ガラスの違いによる熱貫流率等の性能差
その他に注意しなければならないのは、同じ色のLow-Eガラスであれば断熱であれ遮熱であれ熱貫流率(熱の伝わりやすさ)は変わらないという点。
簡単にいうと断熱性能は変わらないのです。ここが勘違いが生まれる原因になります。
ガラス種(色) | ガラス構成 | 紫外線カット率 | 日射熱取得率 | 遮蔽係数 | 熱貫流率 |
---|---|---|---|---|---|
単板ガラス | FL3 | 25.7 | 0.89 | 1.00 | 6.0 |
複層ガラス | FL3-12-FL3 | 40.2 | 0.80 | 0.91 | 2.9 |
Low-E複層クリア | FL3-12-LowE3 | 68.5 | 0.58 | 0.66 | 1.7 |
Low-E複層ブロンズ | FL3-12-LowE3 | 68.5 | 0.43 | 0.49 | 1.7 |
Low-E複層グリーン | FL3-12-LowE3 | 80 | 0.46 | 0.52 | 1.6 |
Low-E複層グリーン(高遮熱仕様) | LowE3-12-FL3 | 80 | 0.39 | 0.44 | 1.6 |
引用:LIXILインプラスカタログより(複層ガラス 光学性能値)
またメーカーによって呼びかたが違うのも勘違いの原因に…
違いは「Low-Eの位置の違い」だけと思われるかもしれませんが、実はLow-E膜の特性も若干異なっています。
「放射」のもととなる赤外線には、「近赤外線」と「遠赤外線」の2つに分かれています。
そして太陽の暖かさは「近赤外線」であるのに対し、暖房の暖かさは「遠赤外線」であるという点です。
これらを踏まえて「断熱タイプ」と「遮熱タイプ」の違いを整理すると、次のようになります。
「断熱タイプ」
- Low-E膜の特性 主に遠赤外線を吸収・反射する特性
- Low-E膜の位置 断熱を重視するので、室内側のガラスの表面にLow-E膜を配置。適度に太陽熱をカットする(カットしすぎない)ので、冬場の陽だまり感を得ることができます。
「遮熱タイプ」
- Low-E膜の特性 近赤外線・遠赤外線の双方を吸収・反射する特性
- Low-E膜の位置 断熱だけではなく遮熱を重視するので、室外側のガラス表面にLow-E膜を配置。冬場の寒さ対策だけではなく、夏場の遮熱対策にも効果的。
まとめると、ただ単純に「Low-E複層ガラス」を選べば良いというわけではなく、その効果を最大限発揮するためには、冬の暖かさを重視するのか・それとも夏場の暑さ対策を重視するのかなど、住まいの悩みに合せて選択していくことがより重要となります。
夏の遮熱はガラスではなく外付けシェードで考える(南向き)
一番日の入る南向きの窓は遮熱タイプの窓ではないほうが冬は良いでしょう。
断熱タイプの窓が最適。
では暑い夏はどのように対処すればよいでしょうか?
夏はガラスに日射が入る手前でシャットアウトする考えが最適です。
外付けのシェードやよしずのような物を使って日射の対策をすることにより冷房費も抑えられますし、家の中を快適にすごせます。
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【Low-E複層ガラス】の選び方!メリット&デメリットを解説のまとめ
この記事ではLow-Eガラスについて特性やメリット・デメリットについて解説しました。
複層ガラス(ペアガラス)の種類は、
の3種で区別すると理解しやすくなります。
そして…
冬期間は内外の温度差が大きく光熱費にも影響が出るため、窓はとにかく冬を中心に考えて選択することが重要です!
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